Soweto Gospel Choir

“African Spirit”ライナーノーツ

このアルバムには、ソト語やズールー語で歌われているアフリカン・ゴスペルと、英語による曲が約半分ずつ収録されています。からりと明るく伸びやかなアフリカのゴスペルですが、その内容は、実に神に対する敬虔な心情に満ちていることが感じられます。また、当アルバムにはレゲエ由来の曲が3曲入っており、アフロ・カリビアン音楽であるレゲエが、アフリカン・ミュージックと実に相性が良いことを、あらためて認識させられます。

1. Seteng Sediba ソト語
ジャンベ(アフリカン・ドラム)のリズムに、明るいハーモニーをのせて歌うのは、キリストの血による罪の清めと救済です。
(歌詞大意)あなたの魂を救う血の井戸がある。罪人たちは、その血によって清められ救われる。罪人は神を讃美しながら、信仰の門をくぐる。永遠に神を讃美しながら、アーメン!ハレルヤ!と歌おう。

2. Avulekile Amasango/One Loveあり
レゲエの神様ボブ・マーレィの代表曲 ♪One Loveと、ズールー語による讃美が、見事なアレンジによって楽しげな1曲になっています。ズールー語の内容は、天国へのドアは開いている。だから入ろう!入ろう!私たちの罪は十字架により赦されるというもので、♪One Loveでは、ひとつの愛・ひとつの心・みんな一緒になろうよ、そうしたら気分もよくなるさと歌っています。1979年、祖国ジャマイカの政党による分裂を憂いて、ボブ・マーレィは亡命先より帰国。"One Love Peace Concert"を開催し、2人の党首をステージ上にあげ、和解の握手をさせたことが有名です。 ソウェト・ゴスペル・クワイアのサウンドの特徴の一つとして、素朴なベースギターの伴奏があります。原曲ではレゲエ独特のバックビートのリズムを、キーボードがカッティングした奏法で弾いていますがが、ここではベースギターが、ゆったりとビートを刻んでいます。

3. I'll Remember You
原曲は1985年に発表されたボブ・ディラン(Bob Dyran)の曲。歌詞中に、My dear sweet friend, I'll remember youとあり、親友のことを歌ったとも、恋人のことを歌ったともとれる内容ですが、ソウェト・ゴスペル・クワイアは、おそらくこの「あなた」の中に神を投影して、ゴスペルとして歌っているのでしょう。
(歌詞大意)私はあなたのことを思い出す。他のすべての事を忘れても。あなたは私にとっての真実であり、最高の人だった。・・・たった1人の時も、雨の日も嵐の日も、私はあなたを思い出すだろう。バラの花が枯れ、私が日の当たらない蔭にいる時も、どんな時もあなたを思い出す。

 

4. Ke Na le Modisa ソト語
旧約聖書「詩篇23章1節」~主は私の羊飼い~の部分をソト語で歌っています。
主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。/主はわたしを青草の原に休ませ/憩いの水のほとりに伴い/魂を生き返らせてくださる。(新共同訳『聖書』より)

5. Akahlulwa Lutho ズールー語
(歌詞大意)神には不可能はない。神を信じて信じ抜こう。何ものも神を倒すことはできない。なぜあなたは嘆くのか、神を信じればそこには聖なる人生があるというのに。神の声をききなさい。神からの答えがあなたを呼んでいる。

6. Sitting in Limbo/This Little Light of Mine/M'Lilo Vutha Mathanjeni/ レゲエシンガー、ジミー・クリフ(Jimmy Cliff)のSitting in Limbo、ゴスペル曲♪This Little Light of Mine、♪M'Lilo Vutha Mathanjeniが、メドレーで歌われています。特に関連性はないこの3つの曲ですが、つなげてアカペラで歌われると、実に不思議な音楽的な楽しさがあります。Limboとは、天国と地獄にある境界のことで、「不安定な状況」を指します。「その中に身を置いている自分だが、結局は自分の信仰が、私を導くのだろう」と歌っています。♪This Little Light of Mineは、この自分の中にある小さな灯火を輝かせようというゴスペルの定番。

 

7. Izwi Lahlab'inhliziyo Yami ズールー語
(歌詞大意)神の御言葉が、私の心にふれた。そして私の過去の過ちを示してくれた。私はゴルゴダの丘における自らの罪を受け入れた。ゴルゴダの丘で神が示された恵みと愛のなんと美しいこと。私の罪は赦されたのだ。
(注:ゴルゴダの丘:イエス・キリストが、十字架にかけられたと言われるエルサレム近郊の丘。キリスト教では、イエスは人の罪の救済のために、この丘で十字架にかけられたと教えています。)

8. Africa
何とも楽しいトラディショナル。アフリカの恵みと素晴らしさを、高らかに歌い上げた曲です。

 

9. One
U2のボノ(Bono)とのコラボレーション。OneはU2の代表曲の一つで、2006年にはイギリスのベスト1歌詞に選ばれたこともあります。男性から女性に向けて語ったラブソングですが、非常にメッセージ性の高い曲で、歌詞のOne(1つ)には様々な意味が込められています。Oneは統一へのOneでもあり、また個別のOne。歌の最後で、人はひとりひとり異なったoneを持っていて、それぞれが自分のoneを生きていくと、歌い上げています。Bonoはアフリカの貧困解決運動や、エイズ・チャリティにも、積極的な活動をしており、白いリストバンドのONE Campaignの主導的役割も果たしました。2003年、2005年、2006年のノーベル平和賞候補にもなっています。

10. Hlohonolofatsa ズールー語
(歌詞大意)神の御名のもとにすべてを祝福しよう。神の御名によって、すべては祝福されているのだ。

11. Hosanna
ホサナとは、「おお!救いたまえ」の意味ですが、新約聖書ではイエス・キリストのエルサレム入りを歓迎した箇所で使われており、そこでは「万歳」「祝福あれ」の意味に近くなっています。このせつない女性ボーカルと、続くハーモニーが何とも美しい曲の原曲は、オーストラリアのヒルソング教会の♪What the Lord has done in me(よみがえりの主)で、イエス・キリストによる奇跡の数々を題材にした歌詞です。
(歌詞大意)神は弱き人を強め、貧しき人を富ませ、盲人の目をも見えるようにさせた。しかし、こうした奇跡や恵みは、すべて神がこの私に対しても、今までなしてきて下さったことだ。

12. Sefapano ソト語
歌詞の内容と、曲の明るさとのギャップに驚く人も多いかもしれません。しかし、この徹底的な明るさこそがアフリカンゴスペルの神髄でしょう。
(歌詞大意)私が十字架を見上げた時、そこには救い主が磔にされていた。主の傷口から流れた血は、私の魂を救った。

 

13. By the Rivers of Babylon
ジャマイカの、ザ・メロディアンズというグループによって歌われたのが、オリジナルですが、ボニー・Mが1978年にヒット曲させたディスコミュージックとして有名です。歌のモチーフは、旧約聖書の有名な「バビロン捕囚」。イスラエルのエルサレムが、バビロニアに侵攻された際、多くのユダヤ人がバビロンに拉致されました。バビロン川のほとりで、故郷を懐かしみ、イスラエルのシオン(英語ではザイオン)を思いながら泣いたという歌。歌詞には旧約聖書の詩編137章の冒頭が、ほぼそのまま使われています。
「バビロンの流れのほとりに座り シオンを思って、わたしたちは泣いた。 /竪琴は、ほとりの柳の木々に掛けた。/わたしたちを捕囚にした民が歌をうたえと言うから わたしたちを嘲る民が、楽しもうとして「歌って聞かせよ、シオンの歌を」と言うから。/どうして歌うことができようか 主のための歌を、異教の地で。」 (新共同訳『聖書』より)

14. Modimo ソト語
(歌詞大意)神よ、あなたに感謝します。万物はあなたによって創造された。主よ!感謝します。

15. Balm of Gilead
古い黒人霊歌(スピリチュアル)で、多くのゴスペル歌手によって歌われています。「ギリアデの香油(乳香)」のギリアデとは、ヨルダン川東岸の地名。旧約聖書の創世記37:25に、ギレアデから来た隊商が、ラクダに香料と乳香を乗せてエジプトに行くという記載があることに由来し、Balm Of Gileadとは、傷を癒すものの象徴となっています。
(歌詞大意)ギリアデの地には傷口を治す香油がある。ギリアデの地には罪に病んだ魂を癒す香油がある。たとえあなたが聖人ペテロのように祈ることができなくても。たとえあなたが、聖人パウロのように教えを説くことができなくても。家に帰り、そしてあなたの愛する人たちに言うといい、イエスは私たちすべてを救うために、身を賭して死んだのだと。

16. Forever Young
これもボブ・ディランの曲。直訳するなら「永遠に若く」ですが、若さだけでなく、大切な相手の幸せを祈る、心あたたまる歌です。
(歌詞大意)神の祝福がいつもあなたと共にありますように。あなたの望みがすべて、かないますように。あなたが他の人のために行動できますように。他の人もあなたのために行動してくれますように。あなたが星にはしごをかけて、その段を登れますように。あなたがずっと若くいられますように。

 

17. Somlandela ズールー語
(歌詞大意)私たちは、イエスの行くところ どこへでもついていく。主の行くところどこへでも、私たちはついていく。私はついていく。私は主イエスについていく。イエスがどこへ行かれても、私はついていく。

18. Shosholoza  ズールー語
(歌詞大意)列車は、山の中を走る、南アフリカの中から。

19. World in Union
ラグビー・ワールドカップのテーマ曲。原曲はホルストの組曲『惑星』の「木星」で、それに独自の歌詞をつけています。1995年の南アフリカ大会において、「World In Union 95」が流されましたが、歌はこの大会のものだけではなく、他の大会においても独自にアレンジされています。スポーツを通した新しい時代の幕開けを壮大に歌った歌で、「心をひとつにして、あらゆる信条や肌の色の人々がより集い、ひとつの世界を作ること、そのことが、たとえ試合に勝っても負けても、歴史を作り上げることになる、それが勝利である」と歌

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